Fumikoの楽しいガーデニング
Lesson 6 雑草のはなし
Lesson6-1:雑草とは?
さて、雑草っていったいなんでしょうか?本来雑草という名の草はありませんね。野菜でさえ、もともとは草だったわけで、どうやら人間にとって不利益をもたらすと思われているもの、つまり有用だとされる目的物以外の雑多な植物を雑草と呼んでいるようです。たとえばきれいに耕された畑では作物以外は全部雑草でしょう。稲を作っているところでは稲以外は雑草ですね。ゴルフ場で言えば芝以外は雑草だし、お庭で言うと、自分が植えたもの以外は雑草ということになります。私たちの庭に生えてくる名前を知らないような草、勝手に生えてきてどんどん広がる、花が美しいとか、いい香りがするとかの価値がないと思われる草を雑草としてひと括りにしているようですね。農業においては、収量が減ったりすることから雑草を防除することが多いようです。でも実は、雑草にもちゃんと役割があるのです。
Lesson6-2:雑草は無用なのか?
はたして、この世の中に生を受けているものの中で、無用なものはあるのでしょうか?雑草と呼ばれる者たちの一つ一つにはちゃんと名前もあって、それぞれが役割を持っているはず。いろいろなところで雑草と呼ばれている草たちを、たくさんある中から少しだけ紹介しましょう。名前だけは聞いたことがあるかしら?![]() |
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水田の雑草:
アゼトウガラシ、クサネム、サンショウモ、ハルタデ、ヒメミソハギ、ミズアオイ、オニタビラコ、スズメノテッポウ、ウキクサ、オモダカ、キツネノボタン、セリ、ホテイアオイ、ムラサキサギゴケ、ヨシ
畑、宅地などの雑草:
アキメヒシバ、イヌタデ、エノコログサ、オオイヌノフグリ、オオバコ、オニタビラコ、カヤツリグサ、カラスノエンドウ、コアカザ、スズメノカタビラ、スベリヒユ、ツメクサ、ツユクサ、ナズナ、ネナシカズラ、ハコベ、ハハコグサ、ヒメオドリコソウ、ヒメジョオン、ブタクサ、ホトケノザ、カラスムギ、オニノゲシ、オオバコ、ガガイモ、カタバミ、コヒルガオ、スギナ、ススキ、セイタカアワダチソウ、チガヤ、ドクダミ、ハルジオン、ヒルガオ、ヘビイチゴ、ムラサキカタバミ、ヤブカラシ、ヨメナ、ヨモギ
Lesson6-3:雑草の根が土をいつも耕してくれている

「農薬を使わない野菜づくり」(宝島社)という本を書かれた徳野雅仁という方がおられます。彼は無耕耘(耕さないこと)、無除草、無肥料をすすめている方です。自然界が本来持つバランスを観察し、学んで利用して近代農業の常識を翻しました。彼は著書の中で、「多くの草が毎年芽を吹いて生長し、新しい根を地中に伸ばし、驚くほどの密度で土を砕いている」といっています。耕耘することで植物の根が作り上げた緻密な自然環境を破壊して微生物界の生活をひっくり返して混乱させるのだそうです。土壌の微生物は地下10cm以内に最も多く棲息していることを思えばそれもうなずける気がします。雑草と野菜や花が共生するというのは意外かも知れませんが、彼の本の中から雑草の働きをいくつか抜粋してみましょう。
- 雑草は土の養分を吸収するだけでなく絶えず土に養分を蓄積している。
- したがって草のある畑は有機質が多く微生物や昆虫、小動物が増え生命系を形作り、生きた土壌となる。
- 日陰になる株元では、真夏でもミミズが地表で活動するようになる。
- 地表を覆うタイプのものは土砂の跳ね返りをなくし、梅雨時に発生する土壌伝染性の病害感染を未然に防ぐ。
- 6月から8月頃は作物の日照をさえぎるものを、根を残して刈り取れば作物の草勢は衰えない。
- 秋の雑草は背丈が大きくならないものが多く、夏草を刈り取って作物の種をまくだけでよい。雑草は次第に背を低くして作物を寒害から守ってくれる。
- 草を抜かないと、地面が露出しないため土壌水分の蒸散が抑えられ、夏の地温の上昇も防ぐから、作物の根が保護される。
- 昆虫が増えるが、天敵も増えるため虫害が少なくなる。(ヨトウムシなどの幼虫は野菜だけを食べるわけではない。草を抜いて虫たちのためものを奪うから野菜に集中するのです)
- 枯れた雑草が徐々に腐食し、ミミズや微生物によってふかふかの団粒構造の土となる。
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